第2回九州思春期研究会大会プレコングレスの模様をお知らせします
今回のプレコングレスは日本思春期研究学会の研修会との共催でした。場所は福津市文化会館内カメリアホールにて開催されました。1日目の午前は北九州津屋崎病院の若者とその親たちの親子関係を改善するための親子カンファレンスに九州思春期研究会会員が参加するという形で行われました。親子カンファレンスというのは、北九州津屋崎病院の青春期内科に入院・通院している若者とその親の対話を、主治医の森崇先生の司会のもと、集団で行い、親子の相互理解を促進しようというものです。最初に森先生が「親と若者の関係」というテーマで話をされました。その後若者と親とのディスカッションが2時間ほどありました。そこでは若者が親に対する正直な気持を自分の体験を交えながら赤裸々に表現し、また親のほうも子に対する思いや願いを述べていました。

福津市文化会館 親子カンファレンスでの森会長

親子カンファレンスでの森会長
2日目は「思春期・犯罪・脳」というテーマで、3人の講師の方々の講演がありました。最初に目白大学大学院教授である内山絢子先生による「性犯罪被害について」という講演がありました。内山先生は以前は警視庁警察科学研究所少年防犯部主任研究官をされており、講演内容も少年犯罪の動向や性犯罪被害者の年齢分布、女性被害者の心情、加害者の犯罪に対する態度について多くのデータをもとに的確に分析されたものでした。
講演中の内山先生
次に福岡家庭裁判所次席調査官である川元満郎先生による「最近の少年非行について」という講演でした。講演は非行とは何か?から始まり、万引きや無免許運転など初発型(遊び型)の非行から集団非行、薬物非行、出会い系サイトなどの新しいタイプの非行、暴走族による非行、非行の低年齢化、女子の非行についてなど、家庭裁判所次席調査官という立場から最近の少年非行について、体験をもとにした非常に詳しい内容の講演がなされました。

講演中の川元先生
最後に北海道大学大学院医学研究科高次脳機能学分野教授である澤口俊之先生による「日常社会的行動の脳」というテーマで講演がありました。人間の知能は、身体運動的知能、言語的知能、音楽的知能、絵画的知能、空間的知能、論理数学的知能が脳の中である程度独立して分布している。この脳地図のなかに前頭連合野(大脳皮質の場所で言えば前方に位置する)と呼ばれる部分がある。講演では事故によりこの前頭連合野に損傷を受けたゲージという人の実際の症例の紹介から始まりました。このゲージという人は仕事中に不幸にも事故で大きな杭のようなものが脳に突き刺さり前頭連合野と呼ばれる脳の部分を損傷しました。その損傷によりゲージという人の特に日常社会的な行動が大きく変化しました。この実例は前頭連合野に損傷を受けることにより脳の機能として知覚、認識言語、記憶、運動能力、感情などは失わないが、日常社会的生活で大切な、将来へ向けた展望、夢、計画性。感情の制御、協調性。高度な思考力と知能。個性、主体性、独創性、好奇心、探究心。やる気、意志力、集中力。など(これらを人間性知能(超知能)=HQ(Humanity/Hyper-Quotientと呼ぶ)が失われることが分かりました。このことから人間の日常の社会的生活での行動に非常に深い関わりがあるのがこの前頭連合野(HQ)であることが分かりました。

このHQが十分に発達しないと、無計画で刹那的。きれやすく衝動的。問題解決能力が低い。自己中心的で自分勝手。相手の気持ちが分からない。優しさの欠如。やる気、意欲の欠如。ADHD、LD、抑うつ症、統合失調症。反社会性人格障害。などが現れます。逆にこのHQが十分に発達すると前向きで計画的。個性的で独創的。優れた問題解決能力。自分の行動や感情をコントロールできる。協調性を持ち思いやりがある。人生に成功するなどが考えられます。
またIQ(知能指数)に対して一般的IQ(IQg)というものが最近分かりました。このIQgのgはgeneral(一般的、中核的)のgであり、このIQgは前頭連合野の働きであり、IQgが高いほど社会的成功率も高いことも分かりました。このIQgは適切なカリキュラムにより伸ばすことができると澤口教授は言います。これがHQ育成カリキュラムです。

今後の幼少期教育にむけてHQの育成が非常に重要だと澤口教授は言います。従来のカリキュラムでは多重知能は伸ばせるがHQの育成は困難であり、新カリキュラム(HQ育成カリキュラムの研究・開発とIQgアップをめざすカリキュラムの研究・開発)が必要だと澤口教授は提唱しています。

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